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2012年11月16日 (金)

短・短 「車内にて」

K氏は一日の仕事を終えて 妻子の待つ家に帰るところだった。

帰宅時刻の電車は身動きが取れないほどのすし詰め状態だった。

カバンを持つ手は下げたままで動かすことも出来なかった。

彼の前は若い女性だった。

通常の生活の中で、若い女性とこんな距離になることは無いなぁ~と特に意識もせずにぼんやりと考えていた。

そんな時、電車が揺れた。

満員の車内において、自力で姿勢を保つことも出来ず、彼は満員の乗客の動きに身を任せたが、倒れることも出来ないほどの状態であった。

その次の瞬間、彼の前の女性は「きゃ~」という悲鳴とともに「痴漢!」と叫んだ。

彼には身に覚えも無く、ただ呆然としていた。

 

彼は次の駅で降ろされ、彼の前には警官が立っていた。

「君は卑劣にもこの女性に対し痴漢行為をはたらいたね。正直に言いなさい」

とその警官は言った。

彼には身に覚えも無く、確かに満員の車内で彼のカバンを持った手の甲が、その女性の柔らかい部分に当たっていたかも知れない。

また、その感触をいやに思っていなかったことは確かである。

しかし、その状態にあったのは、彼の意思では無く、また、その状態を解消することはたやすいことではなかった。

そんな中で彼が「いやではない状態」と感じていたこと

「普段の生活においてこんなことは無いなぁ~」と思ったことが、

痴漢行為だと定義されるのであれは、痴漢行為をしたことになるが・・・・

 

警官は痴漢行為の自供を彼に必要に迫った。

そして彼は言った

「確かにその女性は魅力的です。

 でも私にとって、

 妻子を裏切り、

 社会的地位を捨てるほどの

 魅力はありません」

 と

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